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中国から商品を購入する海外バイヤーが品質トラブルを防ぐためのポイント

中国から商品を輸入する海外バイヤーにとって、商品到着後に重大な品質不良が判明することは、国際取引における最も深刻なリスクの一つです。しかし、その不良が出荷前から存在していたことを立証することは、多くの方が想像する以上に困難です。

中国のサプライヤーを中国の裁判所で提訴する場合、品質不良の立証責任は通常、買主側にあります。商品が国際輸送され、海外で開梱・保管・使用された後になると、売主は「輸送中の損傷」「海外での保管不良」「買主による不適切な取扱い」が原因であると主張することが少なくありません。

以下では、品質紛争を未然に防ぎ、万一紛争となった場合でも買主の法的立場を強化するための実務上のポイントをご紹介します。

1. 出荷前に商品の品質検査を実施する

品質紛争を防ぐ最も有効な方法は、商品が中国を出荷する前に問題を発見することです。

可能な限り、サプライヤーがコンテナへ積み込む前に、独立した第三者検査機関による出荷前検査(Pre-Shipment Inspection)を実施することをお勧めします。

検査で商品が契約仕様に適合していることが確認され、その後到着時に損傷が発見された場合、その損傷は製造上の欠陥ではなく輸送中に発生したものであることを主張しやすくなります。

高額な取引であれば、出荷前検査の費用は国際訴訟に比べればはるかに低額です。

2. 独立した第三者検査会社を利用する

サプライヤーから送られてきた写真や動画だけを信用することは避けるべきです。

第三者検査会社では、例えば次の事項を確認できます。

  • 商品の品質
  • 数量
  • 梱包状態
  • ラベル表示
  • コンテナへの積込み状況
  • 契約仕様への適合性

検査報告書は、後に紛争が生じた場合の重要な証拠となる可能性があります。

3. 開梱の様子を連続して撮影する

商品到着後に品質不良を発見した場合は、直ちに証拠を保全してください。

具体的には、以下を推奨します。

  • 未開封の状態から開梱完了までを途切れることなく動画撮影する。
  • コンテナ番号、送り状、商品ラベル、製造番号などを撮影する。
  • 不良箇所を鮮明に撮影する。
  • 元の梱包材を保管する。

連続した動画は、断片的な写真よりも証拠能力が高く、商品が開梱後に改変されたとの主張を排斥しやすくなります。

4. 不良品は使用しない

品質不良を発見した後も、商品を販売・使用し続けるケースがあります。

しかし、訴訟を視野に入れる場合は、以下の対応が重要です。

  • 不良品の使用を中止する。
  • 良品とは分けて保管する。
  • 商品を可能な限り到着時の状態で保存する。
  • 保管・管理状況を明確に記録する。

商品が修理・加工・消費された場合、本来存在した欠陥を立証することは難しくなります。

5. 速やかに品質クレームを通知する

中国法および国際物品売買契約に関する国際連合条約(CISG)では、買主は品質不良を発見した後、合理的な期間内に売主へ通知することが求められます。

通知には次の内容を含めることが望ましいでしょう。

  • 不良内容の具体的説明
  • 写真・動画
  • 希望する解決方法
  • 電子メールやWhatsAppなど、記録が残る方法で送信すること

また、すべてのやり取りを保存してください。

通知が遅れると、法的請求が認められないリスクが高まる場合があります。

6. 必要に応じて現地で公証を行う

紛争が深刻化する可能性がある場合は、商品の状態について現地の公証人など公的機関による証拠保全を検討することも有効です。

公証は、一定時点における商品の状態を証明する上で有力な証拠となります。

ただし、公証によって証明できるのはあくまでも「その時点での商品状態」であり、製造時点から欠陥が存在していたことまで証明できるわけではありません。

7. 一方的な検査報告書には注意する

不良品を現地の試験機関へ送り、検査報告書を取得する買主も少なくありません。

しかし、以下の場合には証拠価値が限定されることがあります。

  • 売主へ事前通知していない。
  • 売主がサンプル採取に立ち会っていない。
  • 検査対象が実際の紛争商品と同一であることを証明できない。

中国の裁判所では、このような報告書は補助証拠として扱われることが多く、決定的証拠とは認められない可能性があります。

可能であれば、検査機関、サンプル採取方法および検査基準について双方で合意することが望ましいでしょう。

8. 国際訴訟における立証上の課題を理解する

品質紛争で最も大きな問題の一つは、商品が中国国外に存在していることです。

中国で訴訟を提起した場合、海外にある商品の司法鑑定は費用も時間もかかり、手続も複雑になります。

実務上は、次のような方法が考えられます。

  • 双方合意による海外検査機関への依頼
  • 裁判所による鑑定申立て
  • サンプルを中国へ返送して検査する
  • 紛争対象商品を中国へ返送する

それぞれ費用・手続・証明力に異なる特徴があります。

9. 証拠を体系的に保存する

品質紛争では、一つの証拠だけで勝訴できることはほとんどありません。

通常は、次のような証拠を組み合わせる必要があります。

  • 売買契約書
  • 技術仕様書
  • 注文書
  • 支払記録
  • 船積書類
  • 検査報告書
  • 写真・動画
  • 電子メールやWhatsAppのやり取り
  • 品質クレーム通知書
  • 専門家意見書や試験報告書

証拠が充実しているほど、品質不良が出荷前から存在していたことを立証できる可能性が高まります。

海外バイヤーへの実務的アドバイス

品質紛争において最善の対策は、訴訟ではなく予防です。

出荷前には

  • 第三者検査を依頼する。
  • コンテナ積込み前に品質を確認する。
  • 検査記録を保存する。

商品到着後には

  • 直ちに検品する。
  • 開梱状況を連続して撮影する。
  • 不良品を適切に保管する。
  • 速やかに売主へ通知する。
  • 証拠に影響を与える行為を行う前に、弁護士へ相談する。

中国から輸入した商品の品質紛争では、商品が中国国外へ出た後は立証が非常に難しくなることがあります。出荷前の品質管理と、到着後の適切な証拠保全が、請求の成否を左右する重要な要素となります。

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