日本企業が中国企業と取引を行う機会は依然として多く、製造委託、部品調達、OEM、生産委託、販売代理店契約など、さまざまな契約が締結されています。しかし、契約の履行過程では、代金未払い、納期遅延、品質問題、契約違反などの紛争が発生することも少なくありません。
中国で契約紛争が発生した場合、日本国内の法制度とは異なるルールが適用されるため、適切な対応を取らなければ回収可能な債権を失う可能性があります。本記事では、中国契約紛争の代表例、解決方法、訴訟・仲裁制度、そして日本企業が取るべき予防策について解説します。
中国契約紛争とは
中国契約紛争とは、中国法に基づく契約、または中国企業との商取引に関して生じる法的紛争を指します。
代表的な契約には以下があります。
- 売買契約
- OEM・製造委託契約
- 調達契約
- 技術ライセンス契約
- 販売代理店契約
- 建設・工事契約
- サービス契約
- 合弁契約
契約違反が発生すると、中国民法典および関連する司法解釈に基づき、損害賠償、契約解除、履行請求などが認められる場合があります。
日本企業で多い契約紛争
1. 売掛金の未払い
もっとも多い紛争は、中国企業による代金未払いです。
例えば、
- 商品を納品したにもかかわらず支払いが行われない
- 一部しか支払われない
- 「品質問題」を理由に支払いを拒否される
このようなケースでは、契約書だけでなく、請求書、納品書、メール、チャット履歴なども重要な証拠になります。
2. 品質トラブル
OEMや製造委託では、
- 製品仕様が契約と異なる
- 不良率が高い
- 技術基準を満たしていない
などの紛争が頻繁に発生します。
品質紛争では、第三者検査機関による鑑定結果が重要な証拠となる場合があります。
3. 納期遅延
中国国内の物流事情やサプライチェーンの影響により、
- 出荷遅延
- 生産停止
- 契約納期違反
が発生することがあります。
契約書で遅延損害金(違約金)の定めがある場合、中国法院は合理的な範囲でこれを認めることがあります。
4. 契約解除
一方当事者が契約を解除したものの、
- 解除が有効か
- 損害賠償は必要か
- 前払金を返還すべきか
などが争われるケースも少なくありません。
中国ではどのように契約紛争を解決するのか
一般的には次の方法があります。
① 当事者間で交渉する
もっとも費用を抑えられる方法です。
多くの中国企業も裁判を避けたいと考えており、弁護士を通じた内容証明やリーガルレターによって和解に至るケースも少なくありません。
② 調停
中国では法院による調停制度が広く利用されています。
裁判の途中でも裁判官が和解を提案することが多く、双方が合意すれば調停調書が作成されます。
この調停調書には判決と同様の執行力があります。
③ 中国法院で訴訟を提起する
交渉で解決しない場合は、中国の人民法院に提訴することになります。
契約書に管轄裁判所が定められている場合は、その合意が尊重されることが一般的です。
契約書に定めがない場合には、
- 被告所在地
- 契約履行地
などが管轄となることがあります。
中国の商事訴訟は、日本企業が想像するよりも比較的迅速に進行するケースも多く、証拠が十分であれば数か月から1年程度で第一審判決が出ることもあります。
④ 仲裁
契約書に仲裁条項がある場合は、中国法院ではなく仲裁機関で紛争を解決します。
代表的な仲裁機関には、
- CIETAC(中国国際経済貿易仲裁委員会)
- 上海国際仲裁センター
- 深圳国際仲裁院
などがあります。
仲裁は、
- 手続が非公開
- 国際取引に適している
- 判決より執行しやすい場合がある
というメリットがあります。